東京高等裁判所 昭和43年(ネ)1581号 判決
控訴人は昭和四〇年夏頃右竹内とともに被控訴人山地に会い、控訴人が本件手形を所持していること、右手形の金額その他の記載事項、控訴人の所持にいたる経緯を説明して、その支払を求めたところ、右山地は控訴人が右手形権利者であることおよび右手形の金額等について異議をとなえず、ただ「惑迷はかけない。」と述べていたこと、ところがその後も被控訴人らが支払をしないので控訴人は度々右山地に対してこれを催告し、昭和四一年一一月中にも、右竹内を通じて口頭で右催告をなしたことが認められる。右認定に反する証拠はない。そして右四一年一一月当時山地はすでに被控訴会社の代表取締役に再び就任していたことは前記のとおりであるから、右催告は特段の事情の認められない本件では、被控訴会社に対する手形金の請求であるとともに、被控訴人山地に対する手形金支払の請求でもあると認めるのが相当である。
なお、右催告は口頭によるものであるが、前認定のように債務者に対してすでに手形債権者が、手形を所持していること、手形の金額等の記載内容を明らかにし、手形債務者がこれに異議を唱えていないのであるからかかる場合手形を呈示せず、また書面によらずに口頭で催告をしても、時効中断のための催告として有効であると解すべきであつて、しかも右催告後六ケ月以内である昭和四二年三月二二日に本訴が提起されたことは記録上明らかである。
(川添利 長利 田尾)